どうして花粉症があるの?
日本で花粉症と言えば、春のスギ花粉症をすぐに思い浮かべますが、世界では多くありません。ヨーロッパではイネ科花粉症、アメリカではブタクサ花粉症が代表的で、日本のようにスギ花粉症は一般的ではありません。それではどうして日本にはスギ花粉症が多いのでしょうか?実は、スギ花粉症はもともと日本にも多くはなく、1960年代後半から増えてきている病気なのです。これは、戦後の復興にともなって木材が必要とされたために、日本各地にスギやヒノキの植林が大規模に推し進められた結果なのです。そのためにスギ花粉も大量に飛散するようになり、スギ花粉症の患者さんも増加し、今では日本の人口の2500万人以上がスギ花粉症にかかっていると考えられています。
花粉症はどうして発症するの?
花粉症は人間の体に備わった免疫機能で、異物を排除しようとする働きです。吸い込んだスギ花粉を異物と認識するために、スギ花粉をくしゃみで吹き飛ばしたり、鼻みずで洗い流したり、これ以上スギ花粉が入らないように鼻づまりの状態を作るのです。 それでは、どうしてスギ花粉を異物と認識するのでしょう。
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まず花粉を吸い込んで、花粉が体内に入ってきます。
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リンパ球が花粉に反応し、図のYの形をしているIgE抗体を作ります。
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この作られたIgE抗体が肥満細胞の表面にくっつきます。
肥満細胞の中には、ヒスタミンなどのアレルギー症状を起こす物質が含まれています。(ところで余談ですが、肥満細胞というのは、人の肥満とは関係ありません。顕微鏡で見たときにまるまるとした細胞であることから名付けられているだけです。) ここまでの状態が、アレルギー反応をおこす一歩手前です。実は血液検査で調べているアレルギー検査というのは、このIgE抗体の量なのです。
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次に、再びスギ花粉を吸い込んで花粉が体内に入ってきます。
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入ってきた花粉が、肥満細胞の表面にあるIgE抗体に結合すると、肥満細胞が破裂して、肥満細胞の中にあるヒスタミンなど、アレルギーを起こす物質を放出します。
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この肥満細胞から放出されたヒスタミンなどのアレルギーを起こす物質が、くしゃみ、鼻みず、鼻づまり、目のかゆみを引き起こします。